投稿:常田 豊
マンション配管改修で失敗しないリフォーム、8のポイント!
*2017年7月内容を分かり易く見直しました。
このブログは築25年以上のマンションにお住まいの方で、水回りを含めた大規模なフルリフォームやリノベーションをご計画されている方にお役に立つ情報です。
築年数25過ぎのマンションでは全棟的に給水配管などのやり替えが計画されている場合が有ります。その為、ご自分の住まいを大規模にリフォームする際には、その点を考慮しておかないとせっかくリフォームした部分をやり直す事が起きてきます。
住まいも築25年を過ぎると、水回りを含め全体的に傷んでくるので大規模なリフォームが必要になります。その際には機器の交換だけでは無く配管も新規に交換する必要が有ります。
上記の事をしっかり考えてリフォームを行う事でやり直しを無くして余分な支出を押さえる事が出来ます。もし、こうした事を知らない、又は無視して大規模なリフォームを行うと、将来的にやり直しなどで大きな費用の損失が起きたりせっかくきれいに仕上がっている部分が見苦しくなったりします。
当社は過去の苦い経験から学び、現在はスタッフ全員がこうした知識を持ち、お客様にご提案する事が出来る様になりましたが、リフォーム経験の少ないリフォーム会社や不動産会社が行うリフォームなどではこうした事が行われていないのが現実です。
このブログを読んでお客様自らがこの事を納得して頂き、リフォームの際に業者にこの事を逆提案することで、上記に関わる無駄が無くなります。
但し、上記に関してはそれなりに配管に関しての知識が無いと難しい事なので、業者選択の際には、リフォーム会社のホームページで≪資格者≫の項目で例えば、≪一級管工事施工管理技士≫など設備の有資格者が在籍していれば安心です。
私ごとになりますが、わたくしはリフォーム会社を起業する前に国家資格の一級管工事管理技士を取得し、設備会社で長年マンション建設の設備工事で施工管理に関わってきました。その為、一定の経験と知識を持っているつもりです。
ちょうどその頃に建設したマンションが今リフォーム時期を迎え盛んにリフォームを行っていますが、若い技術屋さんが見たことがない又は経験したことが無い材料や工法の事を教え伝える事も私の使命のように感じています。
≪お知らせとお願い≫
上記に関して、多くの方からご相談を頂くのですが、私どもの会社アリキリリフォーム株式会社は住宅リフォーム専門店なので、配管工事だけの改修や、コンサルティング的な業務は行っておりません。このブログの目的は、再生的な大型リフォームやリノベーションを行う際の当社の考え方をお示ししたものでございます。
又、少数精鋭で品質管理を大事にしたリフォームを行っている関係上、遠方のご依頼はお受けしておりませんのでご承知おき下さい。当社の営業範囲は横浜市;港南区・南区・戸塚区・栄区・磯子区・金沢区で概ね片道30分の範囲でございます。
≪まえがき≫
リフォームに大きな影響を与えるマンションの配管改修
25~30年を過ぎるとどこのマンションでも寿命による配管の改修(交換)を行います。当社がある横浜の港南区周辺でも現在多くのマンションで建物全体の配管改修工事を行っています。
上記の配管改修はマンション管理組合の主導で行われますが、個人のお部屋にも深く関わって来る為に、組合の配管改修前にフルリフォームやリノベーションなど大規模なリフォームを行う場合には、その影響が極力少なくなるような配管計画を立てなければなりません。
この配管計画はマンション配管に詳しいくないと難しいので、どこのリフォーム会社でも対応できるとは限らないので、リフォーム業者選択の際にはそうした知識や経験が豊富かどうかをよくご確認ください。
今回は9つのポイントに絞り上記の問題を掘り下げてみましたので是非、最後までお読みください。
≪リフォーム会社の社長がマンションの配管に詳しい理由!≫
なぜ、リフォーム会社の社長がマンション配管の事を書くのか疑問を持たれる方も多いと思います。その理由を以下の自己紹介でご説明します。
《自己紹介》
46年前に大学の機械科を卒業して横浜の設備会社に入社しました。以後23年間、多くの戸建て住宅やマンションなどの設備工事や 大手ゼネコン清水建設などの協力業者の施工管理担当者として 担当してきました。
国家資格の1級管工事施工管理技士の資格も第一回目の検定試験で 取得しました。
ちょうど私が現役で設備工事を行っていた頃のマンションが現在、再生リフォーム時期を迎えています。そんな訳で当時使用していた材料や工法を熟知していると言う訳です。
当社は配管の知識だけではなく、施工品質の管理や結露断熱などリフォームに関しての技術系全般を得意としています。
どんな会社なのかご興味のある方は是非ホームページを訪問して頂ければと思います。
アリキリリフォーム㈱
尚、マンション配管改修に関連した私のブログは以下のページにまとめて有りますので、
興味のある方はそちらもご覧ください。
ポイント1.改修工事の必要性・・・
マンションは築30年を過ぎると金属配管の劣化が進み配管の交換が必要になります。築年数30年以上のマンションの配管材料は金属管が多く腐食や錆の為に漏水や詰まりを起こします。
配管改修工事ではこれらの劣化した配管を交換するのが目的で、主に樹脂配管材料に交換します。
この配管改修を行うことで更に、30~40年、安心して住むことが出来るようになります。
以下では管種ごとに詳しく見て行きます。
【給水管】
当時の給水管はビニールライニング鋼管と言って、鉄管の内側に塩ビ管が入った防錆性能のあるものでした。しかし、継手との接続部分でネジ切りを行う為にそこが原因になり、錆や漏水を生じ、交換が必要になります。
【給湯管】
給湯管は主に被覆銅管という軟質銅管に保温被覆が付いたものでした。銅管は錆びが発生しないので交換しない場合もあるようですが、継手接続のロウ付け部分からの漏水の懸念のあるので、出来るだけ交換を行います。
【追い焚き用ペアチューブ】
当時マンションで風呂の追い焚きは少なかったように思います。材質は給湯の被覆銅管と同じで、往復の配管が一体の被覆に包まれたものです。継手を使う場合にはロウ付作業で漏水の可能性があるので、リフォームの時には交換しましょう。
【雑排水管】
キッチン、洗面、浴室などの排水管は当時、すでに塩ビ管が使用されていました。マンションでも国の基準に沿った規格で造った建物では亜鉛メッキ鋼管が使用されていました。
亜鉛メッキ鋼管はサビを発生し、排水の障害になるので、リフォームの時には塩ビ管に交換してください。部位によっては耐火被覆塩ビ管や耐火塩ビ管を使う必要があります。
【汚水管】
当時、汚水管は主に鋳鉄管や鉛管を使用していました。鋳鉄管は比較的錆や肉痩せに強く交換しない場合もありますが、便器との接続には鉛管を使用していることも有るのでその場合には樹脂製のフレキ管に交換します。鉛管は劣化が激しく漏水の可能性が大きいです。
【ガス管】
ガス配管も鋼管を使用していますが、あまり腐食や劣化も少ないようで、ほとんどは交換していないようです。
『まとめ』
1.住戸内の金属配管はガス管を除いて全て交換が必要です。
ポイント2.管理組合による配管改修工事概要・・・
配管改修工事はマンションの全体のことなので、管理組合が中心になって行います。工事の範囲は共有部分と各住戸を合わせた建物全体で、工期は一住戸で1~2週間程、建物全体では3ケ月から半年に及びます。
マンションの配管は、各階を貫通して配管される排水立管や給水立管など共有配管と各住戸内の専用配管があります。排水立て管はトイレ用、洗面浴室用、台所用の3系統に分かれていることが多く、各住戸内のパイプシャフト(PS)内に配管されています。
専用部分の配管は床下や壁の中に配管されています。 工事の際は共有部分の立管も専有部分の配管も床や壁の造作を解体して配管のやり換えを行い、配管完了後に造作や内装を修復します。
状況に依っては給水や給湯配管を露出配管で行う事もあります。最近は露出配管を収納する配管カバーがあるので綺麗に仕上がります
(配管カバーの写真)
ポイント3.配管改修工事の住戸への影響・・・
どの範囲にどんな影響があるかと言うのはその建物の構造と水回り設備のレイアウト、露出配管で行うか、隠蔽配管(床下や壁などの中に配管すること)で行うかなどの方法によって大きく違ってきます。
水回り部分がまとまっていれば、比較的狭い範囲の影響ですみますが、給湯器が南側のベランダに設置されているケースでは給水給湯配管交換の際にリビングや居室等にも影響が出てきます。
一般的にはトイレ、洗面、浴室キッチンという水回り部分の床を開けて配管を入れ替えます。その際に必要であればキッチンなどの機器類を一時取り外し、再取付を行います。又、立て管の交換ではPSを壊して配管を行います。配管の交換が終了したらPSや床、壁の復旧を行って完了になります。
ポイント4.組合配管改修工事前に行ったフルリフォームの問題点・・・
●配管交換をしないでフルリフォームを行ってしまった場合
配管の交換を行わないでフルリフォームやリノベーションを行てしまった場合には配管改修工事の時に再度、必要部分の床や壁を壊して配管を交換する事になります。かなり大掛かりな工事になるので、せっかくのリフォームが台無しになることがあります。
又、組合の方針で給水配管を露出で行う場合にも、出来上がった所に配管が露出してしまいます。
●配管交換を行ってあるフルリフォームの場合
フルリフォームの際に配管の交換を行った場合にはほとんどの影響はないのですが共有部分の立て管の交換の際にはPS部分やその周辺は壊す事になります。それでも配管の交換を行っていなかった場合に比べると遥かに影響は小さくなります。
ポイント5.配管改修工事前に大規模リフォームを行う場合の注意点・・・
大規模リフォームを行う時点で、今後の組合配管改修を考えて給水管の≪戻し配管≫準備や排水管の切り替えを想定た計画を立て対応する事が出来ます。100%OKとは言えませんが準備をしない場合に比べ費用等の点でも大きなメリットが有ります。
重要な事は出来る限り全部を交換しておくことで、『給水管は水道メーターの所まで新規に交換』し、『給湯管はふろ給湯器の所まで』、交換してあれば最善です。
但し、排水管に関しては排水立て管の交換や既存排水管との接続が必ず必要にるなので多少の影響は避けることができません。稀にシステムキッチンや洗面台など関連した機器の取外し、再取付けが必要になる事も有ります。それでも配管を交換せずにリフォームを行った場合に比べれば影響は小さいと言えます。
最も避けなければならないのはユニットバスを取外すような事態です。費用もかかり影響も大きいので、リフォームの際に洗面所の床下で配管の繋ぎ替えが出来るよう≪戻し配管≫など準備をしておきます。これは非常に専門的になるので配管の専門家によく相談してください。
上の写真のようにTOTOのマンションリフォーム用ユニットバスは、洗い場の床の取外しが出来、そこで配管の切り替えが可能なものが有ります。このようになっていれば、最悪、配管がうまく対応出来ていない場合でもユニットバスを撤去しなくて済む可能性が高くなります。ユニットバス選択の際にこのような機種を選ぶことをお奨めします。
『まとめ』
1.フルリフォームやリノベーションなどの大規模リフォームでは古い配管は全て新しくすると後日の問題が少ない。
2.上記の際の配管工事は難度が高いので配管の知識経験のある会社に依頼する。
ポイント6.改修前と後どちらでリフォーム行った方が得か?・・・
大規模リフォームを行うタイミングが管理組合の配管改修工事の前になったとしても私は大きな問題は無いと考えています。今までの経験で配管のほとんど90%以上は交換できるし、組合の改修工事の際に発生する復旧も組合の改修工事を先に行った場合のように大きな範囲にはなりません。
組合の配管改修の後に大規模リフォームを行う場合には配管改修後にせっかく修復した床壁など、ほとんどを撤去するし、配管の位置も変更する事になり大変無駄が大きくなります。
『まとめ』
1.大規模なリフォームで室内の配管を全て交換するならば配管改修前に行った方がお得です。
ポイント7.これから中古マンションを購入される方へのアドバイス・・・
これからは中古マンションを購入して、リフォーム行って住む方が多くなると思います。購入される際には建物全体の配管改修工事が済んでいるかどうかを必ず確認してください。
又、リフォーム済みのマンションを購入する場合にも、配管改修工事が済んでいるか、又は室内の古い配管の交換はどうなっているか確認してください。
改修工事とは少し話がずれますが、給湯器の設置場所がキッチンなど室内にあるマンションは構造上給湯器の移設が非常に困難です。このようなマンションでは間取りの変更や器具の交換などに大きな制限が出て来たり、リフォームが大変難しくなる事があります。
又、壁ピタとかホールインタイプと呼ばれるふろ給湯器を使用しているマンションでもふろ給湯器の修理の度に浴槽を外す必要があり、なにかと費用も多くかかって来ますので、購入の際には注意が必要になります。
≪リノベーション済マンションに関して≫
最近は不動産業者が販売するリノベーション済マンションが人気になっています。
リノベーション済なので『きれいな所にすぐに入居出来る』事から若い方に人気が有るようです。但し、配管の交換が済んでいるかどうまでは明確になっていません。
仮に配管の交換を行わないでリノベーションを行ったという事ならば、場合によっては組合による配管改修の時に床壁の撤去や、キッチンの取り外しが必要になることも有るので
ご承知おきください。
私の会社で行っている≪収納の大きさまでお好み通り・・・ 自由設計のオーダー型マンションリノベーション!≫ではこうした点を考慮したリフォームのご提案しています。
中古マンションを現況のまま購入して、ご希望の間取り設計でリフォームを行うシステムです。これは新築のマンションでも出来ない、贅沢な完全な自由設計のオーダー型リノベーションです。
この件にご興味の有る方は≪ブログ35才からの中古マンションリノベーション、失敗しない7つのポイント≫を読みください。
ポイント8.最近の事例ご紹介・・・
会社のすぐ近くに野庭団地と言う世帯数約2800の大形の分譲マンション団地があります。こちらで、3月初旬にお引き渡しした現場も配管改修工事の計画の最中で、お客様からのご相談の際に、進行中の全体改修工事の計画書を見せて頂きました。計画書では給水管、給湯管と追い焚き配管、排水管の交換を予定されていました。
今回のリフォームは間取りの変更はしませんが、フルリフォームなので、基本的に床・壁・天井の仕上げを新しく行う為に専有部分の全て配管のやり直しが可能でした。給水管と給湯管は床のピットと呼ばれる、溝の中に配管する構造なので床を剥がし、ピット内の配管を樹脂管に交換しました。
(床ピット内の配管やり替え)
給水は外部の水道メーターの所まで新しく交換しておけば改修工事の時にの何もいじらずに済みます。外壁を貫通している配管を抜き取り、新しく配管を行いました。
こちらの現場ではふろ給湯器が廊下側外部に設置されていたので、外壁貫通部分を掘り出し、新しい配管に入れ替えました。(写真入れる)
(外部のふろ給湯器部分の配管交換)
又、雑排水管は①キッチンと②洗面、洗濯機、浴室の2系統に別れていましたので、それぞれの横引き管を立管の分岐部分から樹脂管に交換しました。
今回は、キッチンの排水管がシンダーコンクリート内に埋設配管されていたので、シンダーコンクリートを壊わして配管をやり替えました。シンダーコンクリートは建物の強度に関係しない仕上げ用のコンクリートで、昔は配管をこうして埋め込んでしまっていました。今、考えれば将来の更新などという発想が無かった事が分かります。
(キッチン部分の配管やり替え)
今回の工事では立管以外の配管は全て交換したので、改修工事の時には排水立管を交換するだけで済みます。 仮にこのリフォームを改修工事が済んでから行ったとしたら、配管改修工事に伴う解体や復旧費、更に既存キッチン、洗面台、便器などの機器の取外し、再取付け等ざっとみても80万円~90万円の無駄な費用が発生したと考えられます。
下記に上記現場の完成動画をアップしましたのでご覧ください。
上記のお客様のインタビュー動画も良ければご覧ください。
■最後に裏話を一つ・・・
最後に、ちょっと話し難い内容ですが、皆様の為に裏話を一つだけお話しします。配管改修工事の時に改修工事を行う業者が住民の皆様に対して、この際にキッチン交換をしませんかなど、リフォームの営業を必ず行います。
『ついで工事なので安くやりますと言うのが、うたい文句』なのですが、現実には配管改修は皆さんが生活している中で行う為、非常に工程の厳しい工事になります。この手の工事では大勢の職人さんをかき集めて何とか工程に間に合わせるので精一杯です。
きっと現場の監督さんにとっては面倒なものなのでしょうが、会社側はいくらかでも儲けようとして行います。悪い言い方をすると、現場に責任感がなく、おっつけ仕事になる事が多いようです。
後日、多くの方から、『改修工事の時に慌ててリフォームして失敗した』と言う話を良く伺います。皆さんは組合が選んだ業者だから安心だと思い注文をするようですが、間違いなくいいリフォームにはなりません。なぜならそれが本業ではないからです。
餅屋は餅やという話がありますがまったくその通りで、各戸内のリフォームは当社のようにそれを専門に行っている会社の方が絶対に手慣れていて安心です。
組合が選んだ業者なのだから安心だというのは間違いで整形外科の先生が内科の診察を行う様な物です。決してその職人さんや業者さんがダメだと言う事ではないですが、リフォームってそんな簡単な事ではないです、よく考える時間と準備が必要です。リフォームは一度やったら次はありません。どうぞ慎重に判断して頂きたいと思います。
≪お知らせ≫
過去に配管の不具合で苦い経験をお持ちの方や、水回りリフォームにおける配管工事の重要さを認識されている方は、お気軽に当社にご相談ください。
但し、当社の営業エリアは横浜市;港南区・南区・戸塚区・栄区・磯子区・金沢区・保土ケ谷区の片道30分以内になっておりますので、ご確認をお願いいたします。
又、リフォーム専門の会社なので、配管の改修だけの工事はお受けしていませんのでご容赦ください。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
一級管工事施工管理技士
2級建築士
マンションリフォームマネージャー
アリキリリフォーム株式会社
代表取締役 常田 豊
記事タグ:マンションの配管改修で失敗しないリフォーム8のポイント
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当社はきめ細やかな対応を営業方針としており、概ね30分以内のエリアに限らせて頂いております。詳しくはお問い合わせください。
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